車いすの3つの種類とそれぞれの特徴
車いすは大きく「自走式」「介助式」「電動」の3種類に分類されます。それぞれ構造・操作方法・適した場面が異なるため、体の状態と生活環境に合ったタイプを選ぶことが重要です。
① 自走式車いす
利用者本人が両手でハンドリム(タイヤ外周のリング)を操作して移動するタイプです。後輪が大きく(直径60cm前後)、長時間の乗車や屋外走行に対応しています。JIS規格の標準型は座面幅40〜42cmが主流です。
向いている方:上肢に十分な力がある方、屋外での移動が多い方、自分のペースで移動したい方。
② 介助式車いす
介助者が後方のグリップを持って押すタイプです。後輪が小さく(直径30〜35cm)、軽量(8〜14kg程度)でコンパクトに折りたためるものが多いです。取り回しやすく、車への積み込みにも向いています。
向いている方:常に介助者が付き添う方、上肢の力が弱い方、外出時に車を使う機会が多い方。
③ 電動車いす
バッテリーとモーターで走行し、手元のジョイスティックで方向・速度を操作します。上肢の力が低下した方や長距離移動が必要な方に適しています。1回の充電で15〜30km程度走行できる機種が一般的です。
向いている方:長距離移動が多い方、上肢・体力が著しく低下した方、バリアフリー環境が整っている方。
| 種類 | 操作者 | 重量目安 | 屋外走行 | 介護保険レンタル(1割負担目安) |
|---|---|---|---|---|
| 自走式 | 利用者本人 | 12〜18kg | ◎ | 月額500〜2,000円 |
| 介助式 | 介助者 | 8〜14kg | ○ | 月額500〜1,500円 |
| 電動 | 利用者本人 | 40〜150kg | ◎ | 月額3,000〜10,000円 |
車いすの選び方|3つの判断軸
車いす選びで最初に確認すべき3つの判断軸を整理します。
- 上肢の力があるか:ハンドリムを自分で回せるなら自走式。難しければ介助式または電動。
- 主な使用場所:室内専用なら介助式の小回りが利く。屋外・長距離なら自走式か電動。
- 介助者の有無:常に介助者がいるなら介助式。一人での移動が必要なら自走式か電動。
サイズの選び方|正しいフィッティングのポイント
体に合ったサイズを選ぶことは、安全な乗車と褥瘡(床ずれ)予防のために欠かせません。以下の4つの寸法を確認してください。
シート幅(座面の横幅)
臀部の最大幅を測り、それに2〜3cmを加えた幅が目安です。狭すぎると大腿部が圧迫され、広すぎると姿勢が崩れます。標準は40〜42cm、小柄な方向けのナロータイプは36〜38cmです。
座面高(床からシートまでの距離)
自走式では、座った状態でかかとが床につき、膝が90度になる高さが基本です。足漕ぎ(足で床を蹴って進む)をする場合はやや低めに設定します。
背もたれ高
体幹が安定している方は低め(肩甲骨の下あたり)、体幹が弱い方は高めの背もたれや姿勢保持クッションとの組み合わせを検討します。
アームレスト高(肘かけの高さ)
座った状態で肘を90度に曲げたときの高さが適切です。高すぎると肩が上がって疲れ、低すぎると姿勢が崩れます。
スペック表の数値だけで選ぶと、実際に乗ったときのフィット感が合わないことがあります。必ず試乗してから決定することを強くおすすめします。福祉用具専門相談員に依頼すれば、無料で試乗の手配をしてもらえます。
車いすの種類別・主な機能オプション
標準型に加え、体の状態に合わせた機能オプションを選ぶことで、使い勝手が大きく向上します。
| オプション名 | 概要 | 向いている方 |
|---|---|---|
| ティルト・リクライニング機能 | 背もたれと座面を一体で傾けられる | 長時間乗車、体圧分散が必要な方 |
| ヘッドサポート | 頭部を支えるクッション付き | 頸部の筋力が低下した方 |
| フットサポート(スイングアウト式) | 足置きが外側に開いて移乗しやすい | 立ち上がりや移乗が多い方 |
| アンチチップバー | 後方への転倒を防ぐ補助輪 | 自走式利用者・坂道が多い環境 |
| クッション(体圧分散) | ウレタン・ゲル・エア等の素材 | 長時間乗車、褥瘡リスクのある方 |
カタログ掲載の実商品例(2025年度版)
以下は実際の福祉用具レンタルカタログ(2025年4月版)に掲載されている介助式ティルト・リクライニング車いすの商品例です。
| 商品名 | 品番 | 重量 | 全幅 | 耐荷重 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| マイチルトコンパクトⅡ | MH-CR2 | 25.5kg | 53cm | 100kg | ティルト18°・リクライニング。上部胸椎サポートパット付き |
| スキット7(SKT-7HA) | SKT-7HA | 19.7kg | 48cm | 100kg | 全幅48cmの超コンパクト。ティルト30°搭載 |
| CRT-WR | CRT-WR | 16.8kg | 55cm | 100kg | 超軽量。エアールクッション標準装備。ティルト30°リクライニング130° |
| 座王X(NA-XF7) | NA-XF7 | 20.2kg | 59cm | 100kg | 自走式。前傾−4°〜後傾+18°のティルト機能 |
| ネッティem | 39002-426 | 30.0kg | 58cm | 135kg | 135kg対応の高耐荷重。ティルト▲5°〜20°リクライニング137° |
マイチルトミニ3D(MH-SRL-SE)はリフトアップ機構を搭載し、廊下幅70cmのコーナーを曲がれるよう設計されています。狭い間取りの住宅でも使えるティルト&リクライニング車いすとして、住宅の廊下が狭い方に特に向いています。
介護保険でのレンタル方法と費用
車いすは介護保険の「福祉用具貸与(レンタル)」13品目のひとつです。要件を満たせば月々のレンタル料の1〜3割で利用できます。
レンタルの対象要件
- 要支援2、または要介護1〜5の認定を受けていること
- ケアプランに「車いす」が位置づけられていること
- 担当ケアマネジャーが「必要性あり」と判断していること
車いすは軽度者(要支援1・要介護1)には原則として介護保険レンタルが適用されません。ただし「歩行困難が医師等により確認されている場合」に限り、例外給付として認められます。ケアマネジャーに確認してください。
費用の目安(2024年度)
| 種類 | 月額レンタル料(全額) | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|---|---|
| 自走式(標準型) | 5,000〜20,000円 | 500〜2,000円 | 1,000〜4,000円 | 1,500〜6,000円 |
| 介助式(標準型) | 5,000〜15,000円 | 500〜1,500円 | 1,000〜3,000円 | 1,500〜4,500円 |
| リクライニング式 | 10,000〜40,000円 | 1,000〜4,000円 | 2,000〜8,000円 | 3,000〜12,000円 |
| 電動車いす | 30,000〜100,000円 | 3,000〜10,000円 | 6,000〜20,000円 | 9,000〜30,000円 |
※価格は全国平均価格帯の目安です。事業所・機種により異なります。2024年度の介護報酬基準参照。
まとめ|車いす選びのポイント
- ☑ 上肢の力で自走できるか確認した
- ☑ 主な使用場所(室内・屋外)を決めた
- ☑ 介助者の有無を確認した
- ☑ シート幅は「臀部の幅+2〜3cm」で計測した
- ☑ 要介護認定の区分を確認した
- ☑ ケアマネジャーに相談した
- ☑ 試乗してフィット感を確認した
車いす選びは、種類・サイズ・オプション・介護保険の適用条件を総合的に判断する必要があります。専門知識のある福祉用具専門相談員に相談することで、体の状態に最も合った1台を見つけることができます。