支給限度額とは何か
介護保険では、要介護度ごとに1ヶ月あたりの「支給限度額」が定められています。この枠内のサービス費用の1〜3割が自己負担で、残りを介護保険が負担します。限度額を超えた分は保険が使えず、全額自己負担(10割)になります。
| 区分 | 月間支給限度額(2025年4月) | 1割負担の上限目安 | 3割負担の上限目安 |
|---|---|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 15,096円 |
| 要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 31,593円 |
| 要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 50,295円 |
| 要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 59,115円 |
| 要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 81,144円 |
| 要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 92,814円 |
| 要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 108,651円 |
支給限度額を超えた分のサービスは、保険給付の対象外となり全額自己負担(10割)になります。たとえば要介護3で月27万480円の限度額を2万円超えて利用した場合、超過した2万円は全額(1〜3割ではなく10割)自己負担です。ケアプランを作成する際は、各サービスの費用の合計が限度額内に収まるようにケアマネジャーと確認してください。
支給限度額を圧迫しやすいケース
在宅介護ではデイサービス・訪問介護・福祉用具を組み合わせて利用することが多く、知らないうちに限度額に近づいているケースがあります。
| 要介護3の例 | 月額サービス費(全額) |
|---|---|
| デイサービス 週3回 | 約100,000〜120,000円 |
| 訪問介護 週5日・1時間 | 約70,000〜90,000円 |
| 福祉用具レンタル(ベッド・車いす等) | 約20,000〜30,000円 |
| 合計 | 約190,000〜240,000円(限度額の70〜90%) |
福祉用具で限度額を節約する4つの方法
方法①:不要になった用具はすぐ返却する
福祉用具のレンタルは月単位で費用が発生します。リハビリが進んで歩行器が不要になった場合、1日でも早く返却することで翌月分の費用を削減できます。「もしかしたらまた使うかも」という理由でレンタルを継続すると、毎月の費用が積み重なります。
方法②:住宅改修・特定購入は別枠を使う
手すりの取り付け工事(住宅改修費:上限20万円)やポータブルトイレの購入(特定福祉用具購入費:年間上限10万円)は、月間支給限度額とは別の枠で給付されます。レンタル枠を圧迫しないため、手すりはレンタルではなく工事で取り付け、ポータブルトイレも購入にする選択が合理的な場合があります。
方法③:レンタル可能な用具を購入しない
逆に、介護ベッドや車いすなどのレンタル品を購入することは非効率です。身体状況の変化に合わせてモデルチェンジできるレンタルの方が長期的に合理的です。また購入品は保険給付の対象外となる場合も多いため、まずケアマネジャーに確認してください。
方法④:高額介護サービス費を申請する
自己負担額が一定額を超えた月は「高額介護サービス費」として超えた分が払い戻されます。申請を忘れると損になる制度のため、担当のケアマネジャーに確認してください。
| 所得区分 | 月額上限額 |
|---|---|
| 現役並み所得者(年収383万円以上) | 44,400円〜140,100円 |
| 一般(年収383万円未満) | 44,400円 |
| 市民税非課税世帯 | 24,600円 |
| 生活保護受給者等 | 15,000円 |
初回申請は市区町村の介護保険担当窓口に申請書を提出します。一度申請すると翌月以降は自動的に計算され、超過分が口座に振り込まれる仕組みです(市区町村によって異なります)。申請を忘れていた場合は過去2年分を遡って請求できます。
ケアプランで限度額を管理する
ケアプランはケアマネジャーが作成しますが、サービスの種類・頻度・用具の組み合わせを決定する際に「限度額の何%を使っているか」を必ず確認してください。目安として限度額の80〜90%以内に抑えると、急な体調変化時に追加サービスを入れる余裕が生まれます。
まとめ
- ☑ 現在の月間利用合計が支給限度額の何%かをケアマネジャーに確認する
- ☑ 不要になった用具はすぐ返却(月単位で課金される)
- ☑ 手すり工事・ポータブルトイレ購入は別枠(住宅改修費・特定購入費)を活用
- ☑ 高額介護サービス費の申請を忘れずに(過去2年分遡及可)
- ☑ 限度額の80〜90%以内に抑えてバッファを確保する
介護保険の支給限度額は毎年4月に見直される場合があります。制度改正の情報はケアマネジャーや市区町村から定期的に確認することをおすすめします。