認知症老人徘徊感知機器とは
認知症老人徘徊感知機器とは、認知症の方が屋外へ出ようとしたとき、またはベッドや特定の場所を離れたときに自動的に感知し、家族や介護者へ通報する機器です。介護保険制度でも「認知症老人徘徊感知機器」として福祉用具貸与(レンタル)の13品目のひとつに定められています。
認知症の「徘徊」は、本人が意図せず外出し、行方不明・事故につながる深刻なリスクがあります。感知機器は早期に気づくことで対応時間を確保するための重要なツールです。
徘徊感知機器はご利用者の安全を見守る補助をするものであり、転倒・転落の防止や安全を完全に保障するものではありません(製品の注意表示より)。感知機器の導入と並行して、ケアプランや生活環境の整備も重要です。
センサータイプの4種類と特徴
| タイプ | 感知の仕組み | 設置場所 | こんな方に向いている |
|---|---|---|---|
| 床センサー(Aタイプ) | 床に足を着くと感知。圧力センサーをマット状に敷設 | ベッド横・廊下・玄関前 | 夜間にベッドから起き上がる方 |
| ベッドセンサー(Bタイプ) | ベッドマットの圧力変化を感知。起き上がりで反応 | ベッドのマットレス下 | 寝返り程度では誤作動させたくない方 |
| 超音波・赤外線センサー(Cタイプ) | 検出範囲に入ると感知。非接触型 | 廊下・部屋の出入り口 | 特定エリアへの侵入を感知したい場合 |
| ドアスイッチ(Dタイプ) | ドアの開閉を感知 | 玄関ドア・窓 | 外出しようとする動作を感知したい場合 |
多くの製品は、これら4タイプのセンサーを組み合わせて使うことができます。日中はドアスイッチ、夜間は床センサーというように、時間帯や状況に応じて使い分けることも有効です。
受信機・通知方法の3タイプ
| 受信機タイプ | 特徴 | 向いている方 |
|---|---|---|
| 携帯型受信機(スマートタイプ) | 小型・持ち歩き可能。受信履歴が確認できる高性能タイプ | 家の中を動き回りながら介護する方 |
| ポータブル型受信機 | 据え置き・携帯両用。72dBの大音量で知らせる | 高齢の介護者や聴力に不安がある方 |
| スマホ通知(ワイドタイプ) | 見守りルーター経由でスマホ・携帯メールに通知。別居家族も確認可 | 日中一人になる時間がある・遠距離介護の家族 |
カタログ掲載の実商品例(2025年度版)
以下は実際の福祉用具レンタルカタログ(2025年4月版)に掲載されている徘徊感知機器の商品例です。
| 商品名 | 品番 | 受信機タイプ | 電波到達距離 | 対応センサー |
|---|---|---|---|---|
| 家族コール3・スマート | HKSM-3A/B/C/D | 携帯型(持ち運び可) | 約100m | A・B・C・D 全4タイプ |
| 家族コール3・ポータブル | HKPT-3A/B/C/D | ポータブル(据置・携帯両用)72dB大音量 | 約80m | A・B・C・D 全4タイプ |
| 家族コール3・ワイド | HKW-1A/B/C/D | スマホ・携帯メール通知(見守りルーター使用) | 約80m | A・B・C・D 全4タイプ |
家族コール3・スマートの送信機は全幅10.5cm×全長6.2cm×高さ2.5cm(重量150g)と非常にコンパクトです。携帯型受信機は6.8cm×8.6cm×1.4cm(重量65g)で、ポケットやベルトに装着して使います。
介護保険でのレンタル条件と費用
対象要件
- 対象:要介護2以上の認定を受けており、認知症の診断がある方
- 原則対象外:要支援1・2、要介護1(認知症があっても要件に注意)
- ケアプランに「認知症老人徘徊感知機器」が位置づけられていること
要介護1の方への徘徊感知機器のレンタルは原則対象外ですが、「認知症があり、日常的に徘徊の危険がある」と医師やサービス担当者会議で確認された場合、例外給付として認められる場合があります。ケアマネジャーに相談してください。
| 機器の種類 | 月額全額(目安) | 1割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|---|
| 床センサー・ベッドセンサー単体 | 2,000〜5,000円 | 200〜500円 | 600〜1,500円 |
| センサー+受信機セット | 5,000〜15,000円 | 500〜1,500円 | 1,500〜4,500円 |
| スマホ通知タイプ(ワイド) | 8,000〜15,000円 | 800〜1,500円 | 2,400〜4,500円 |
徘徊対策の総合的な考え方
感知機器は「徘徊を検知して知らせる」ツールですが、根本的な対策には環境整備や介護体制の見直しも必要です。
- 玄関の施錠工夫:サムターン交換や補助錠で簡単に出られない工夫をする
- 夜間の居室確保:安全な動線の確保と転倒リスクの除去(段差解消・手すり設置)
- デイサービス等の活用:日中の活動量を確保することで夜間の徘徊リスクを下げる
- GPS端末の携帯:介護保険外だが、外出した際に位置を把握できるGPS端末の利用も有効
まとめ
- ☑ 要介護2以上の認定と認知症診断があることを確認した
- ☑ 徘徊が起きやすい時間帯・場所を把握した(夜間?日中?)
- ☑ 感知したい場所に合ったセンサータイプ(床・ベッド・赤外線・ドア)を選んだ
- ☑ 通知を受け取る人の状況(同居・別居・スマホ有無)を確認した
- ☑ ケアマネジャーにケアプランへの組み込みを依頼した