トイレ・排泄補助用具の主要3種類
排泄は生活の中で最も頻度が高い動作のひとつです。トイレへの移動・便座への立ち座り・後始末など、それぞれの動作に困難が生じた場合に対応する用具があります。
① ポータブルトイレ
居室やベッドサイドに置いて使用できる携帯式便器です。夜間にトイレまで移動するのが困難な方、トイレが遠い方、転倒リスクが高い方に特に有効です。
主な種類:標準型(肘かけ・背もたれ付き)・スライド式(ベッドと並べて移乗しやすい)・水洗式(水洗機能内蔵)があります。
介護保険:特定福祉用具購入対象。年10万円上限・購入費の7〜9割が支給。
価格目安:10,000〜80,000円。1割負担なら1,000〜8,000円程度。
② 補高便座(腰掛便座)
既存の便座の上に重ねて設置し、座面を高くする補助具です。膝や股関節に痛みがある方、筋力が低下して立ち上がりが困難な方に有効です。工事不要で手軽に設置できます。
高さのバリエーションは5cm・7cm・10cmなど。洋式便座への取り付け・シャワー機能付きのものもあります。
介護保険:特定福祉用具購入対象(腰掛便座の区分)。
価格目安:5,000〜30,000円。1割負担なら500〜3,000円程度。
③ トイレ用手すり
トイレ内での立ち座り・方向転換・後始末動作を支える手すりです。大きく「据置型」(工事不要)と「壁固定型」(住宅改修)の2種類に分かれ、介護保険の区分が異なります。
- 据置型:便器を挟んで固定する工事不要タイプ。福祉用具貸与(レンタル)対象。月額300〜800円(1割負担)。
- 壁固定型:壁に穴を開けてビス止めするタイプ。介護保険「住宅改修」対象(上限20万円・工事費の7〜9割補助)。
| 品目 | 介護保険区分 | 対象要件 | 自己負担の目安 |
|---|---|---|---|
| ポータブルトイレ | 特定福祉用具購入 | 要支援1〜要介護5 | 購入費の1〜3割(年10万円上限) |
| 補高便座(腰掛便座) | 特定福祉用具購入 | 要支援1〜要介護5 | 購入費の1〜3割(年10万円上限) |
| 据置型手すり | 福祉用具貸与(レンタル) | 要支援1〜要介護5 | 月額300〜800円(1割負担) |
| 壁固定型手すり(工事) | 住宅改修 | 要支援1〜要介護5 | 工事費の1〜3割(上限20万円) |
選び方のフロー|状態に合わせた選択
- トイレまでの移動が困難・夜間が特に危険 → ポータブルトイレを居室に設置
- トイレには行けるが立ち座りが辛い → 補高便座+手すりで解決
- 便座が低くて立ち上がれない → 補高便座(5〜10cm追加)
- つかまるものがない → 据置型手すり(レンタル)or住宅改修(壁固定)
補高便座の正しい高さの選び方
補高便座の高さは、座ったときに股関節・膝関節がおおよそ90度になる高さを目安にします。
- 現在の便座の高さを測る(床から便座上面まで。一般的に38〜42cm)
- 理想的な座面高を算出する(身長÷4+2cm程度が目安)
- 差分が必要な補高量(例:理想50cm-現在40cm=10cmの補高が必要)
補高便座が高すぎると足が床につかなくなり、立ち上がり時に不安定になります。必ず実際に座って足が床にしっかりつくことを確認してから使用してください。
ポータブルトイレの消臭・衛生管理のポイント
ポータブルトイレは適切な手入れで衛生的に使用できます。
- 使用後は毎回バケツを取り外して水洗い・消毒する
- 消臭剤(専用タブレット・液体)をバケツに入れると臭いを抑えられる
- 水洗式ポータブルトイレは消臭・衛生管理が楽だが価格が高い
- 介助者が処理する場合は、感染予防のため使い捨て手袋を使用する
まとめ
- ☑ 夜間のトイレ移動リスクを確認した(→ポータブルトイレ検討)
- ☑ 便座からの立ち上がり困難の程度を確認した(→補高便座の高さ選定)
- ☑ つかまれる手すりの有無を確認した(→据置型手すりorリフォーム)
- ☑ 要支援1以上の認定を受けているか確認した
- ☑ 購入前にケアマネジャーへ相談した(特定福祉用具購入の場合)
- ☑ 指定販売事業者から購入するか確認した