移動用リフトとは

移動用リフトとは、自力での移動が困難な方を身体をつり上げることで安全に移乗・移動させる福祉用具です。ベッドから車いすへの移乗、浴室への移動、トイレへの移乗など、重度の要介護者の日常生活に必要な移動動作を介助者の腰への負担を最小化しながら行えます。

介護現場では「ノーリフティングケア(持ち上げない介護)」の観点から移動用リフトの活用が推奨されており、施設だけでなく在宅でも普及が進んでいます。

移動用リフトの3種類

種類設置方法主な用途介護保険区分在宅向き
床走行式床面を移動(工事不要)ベッド↔車いす↔トイレ等の多目的移乗福祉用具貸与(レンタル)
固定式(スタンド型)床・天井に固定(工事あり)特定の場所(浴槽・ベッド横等)での移乗住宅改修(工事ありの場合)
据置式(工事不要)床に設置(工事不要)浴槽横・ベッド横の固定使用福祉用具貸与(レンタル)
天井走行リフトとの違い

天井にレールを設置して走行する「天井走行リフト」は工事が必要なため、介護保険の「住宅改修」として扱われます。設置費用は工事費込みで30〜100万円程度かかりますが、長期在宅介護では転倒リスクや介護者の身体的負担の観点から費用対効果が高いとされます。

床走行式リフトの選び方

在宅で最も多く使われる床走行式リフトの選択ポイントを解説します。

開口幅(ベース幅)の確認

リフトのベース(脚部)がベッドや家具の下に入る必要があります。ベッドの脚の高さ(床からの隙間)と、ベース幅が合致しているか確認が必須です。標準的なベース幅は60〜80cm程度です。

最大昇降高さ

ベッドから車いす・トイレへの移乗など、最高点と最低点の差が必要です。利用者の体型と移乗先の高さに合わせて「最大昇降高さ」(一般的に160〜200cm)を確認してください。

耐荷重

利用者の体重に対して余裕のある耐荷重のモデルを選びます。一般的なモデルは耐荷重160〜200kgです。体重90kg以上の方には対応機種が限られるため、事前確認が必要です。

移動のしやすさ

室内での移動には床面との摩擦が重要です。フローリングは比較的スムーズに動きますが、カーペットや畳の上では動きにくい場合があります。キャスターの大きさ・種類を確認してください。

つり具(スリング)の種類と選び方

つり具はリフトと同様に重要な用具です。身体に直接触れる部分であり、体型・身体機能に合ったものを選ぶことが安全と快適さに直結します。

つり具の種類特徴向いている方
ハーネスタイプ(全身支持)頭部・胴体・脚部を包む。最も安定性が高い全介助・寝たきり・頸部支持が必要な方
セパレートタイプ上半身・下半身を別々につる。着脱が比較的容易拘縮がある方・体位変換が多い方
座位タイプ座った姿勢でつり上げる。椅子に移乗しやすい座位保持ができる方・車いすへの移乗が主な方
入浴用防水素材。浴槽への移乗に特化入浴リフトを使用する方
つり具は必ず専門家に選定を依頼してください

体型や拘縮の状態に合わないつり具を使用すると、局所的な圧迫・皮膚損傷・不安定な姿勢による転落リスクがあります。福祉用具専門相談員が実際に試乗しながら選定することを強くおすすめします。

介護保険での費用と手続き

リフト本体(レンタル)

種類月額全額(目安)1割負担3割負担
床走行式(電動)20,000〜40,000円2,000〜4,000円6,000〜12,000円
据置式(手動)10,000〜20,000円1,000〜2,000円3,000〜6,000円

つり具(特定福祉用具購入)

つり具(スリング)は「特定福祉用具販売」の対象です。年間10万円を上限に購入費の7〜9割が介護保険から支給されます。つり具の価格は1枚あたり5,000〜30,000円程度です。

まとめ

移動用リフト導入 チェックリスト
  • ☑ 移乗に要している介助者の身体的負担を確認した
  • ☑ 使用場所(居室・浴室・トイレ)を確認した
  • ☑ 床走行式のベース幅とベッドの脚の隙間を実測した
  • ☑ 利用者の体重と耐荷重の適合を確認した
  • ☑ つり具の種類を専門相談員と相談して決めた
  • ☑ ケアマネジャーにケアプランへの組み込みを依頼した