手すりの種類|工事の有無で介護保険の区分が変わる
自宅に手すりを設置する方法は、大きく「据置型(工事不要)」と「壁固定型(工事あり)」の2種類に分かれます。どちらを選ぶかによって、介護保険の適用区分が異なります。
| 種類 | 設置方法 | 介護保険区分 | 費用の目安 | 賃貸への設置 |
|---|---|---|---|---|
| 据置型(床置き・突っ張り型) | 工事不要。床・天井・便器等に固定 | 福祉用具貸与(レンタル) | 月額300〜800円(1割負担) | ○(工事不要) |
| 壁固定型(ビス止め) | 壁・床に穴を開けてビス止め | 住宅改修費(工事費補助) | 工事費の1〜3割負担(上限20万円) | △(家主の同意が必要) |
据置型手すりの特徴と選び方
据置型(工事不要型)の手すりは、賃貸住宅でも設置でき、取り外しも簡単です。場所に応じた専用製品があります。
天井突っ張り型(スタンドポール型)
床と天井の間にポールを突っ張って固定するタイプです。ベッドサイドや廊下など多用途に使えます。工事不要で設置場所を変えられるため、住まいの変化にも対応できます。
トイレ用手すり(便器固定型)
便器の前・横にフレームを固定し、立ち座り動作を補助します。左右への方向転換も支えられるL字型が便利です。
設置の目安:便座から横20〜25cm、高さ65〜70cmの位置にグリップが来るように調整します。
ベッドサイド手すり(差し込み型)
マットレスの下に板を差し込んで固定するタイプです。起き上がり・立ち上がりの補助として有効です。
玄関・段差用手すり
玄関の上がり框(たたみとの段差)に設置するタイプ。固定強度が高いものを選んでください。
カタログ掲載の実商品例(2025年度版)
以下は実際の福祉用具レンタルカタログ(2025年4月版)に掲載されている据置型手すりの商品例です。
| 商品名 | 品番 | 重量 | 耐荷重 | 高さ調整 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| ベストポジションバー(T型) | NBP-100-80/90 | 5.2kg | 80kg | 210〜290cm(無段階) | 天井突っ張り型。T型・丸型の2種。握り径φ45 |
| ベスポジショートサイズ(T型) | BPZ-100-60/20 | 4.15kg | 80kg | 170〜210cm(無段階) | 天井が低い場所向けショートサイズ |
| ベスポジショートサイズ(丸型) | BPZ-100-60/20 | 3.45kg | 80kg | 170〜210cm(無段階) | 丸型グリップ。軽量で設置・移動が簡単 |
| b型手すりロング | SBR-40-91/SBR-40-60 | 1.15kg | — | 76.8〜136.8cm | 角度・長さの細かい調節で最適な動線を作れる |
据置型手すりは設置後に必ずガタつきがないか確認してください。固定が不十分なまま使用すると、立ち上がり時に手すりが動いて転倒するリスクがあります。ベストポジションバーは耐荷重80kgですが、天井の強度によっては取り付けできない場合があります。定期的な点検も重要です。
壁固定型手すりと介護保険住宅改修
廊下・階段・浴室など連続した支持が必要な場所や、強固な固定が必要な場所は、壁にビス止めする固定型手すりが適しています。
介護保険住宅改修とは
要支援1〜2・要介護1〜5の認定を受けた方が、自宅の改修工事を行う場合に、工事費の7〜9割(上限20万円)が介護保険から補助される制度です。
手すりの設置以外にも、段差の解消・床材の変更(滑り止め)・扉の取り替え(引き戸化)・洋式便器への取り替え・スロープ設置などが対象です。
| 住宅改修の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 手すりの取り付け | 廊下・浴室・トイレ・玄関等への壁固定型手すりの設置 |
| 段差の解消 | 敷居の撤去・スロープの設置・浴室床のかさ上げ |
| 床・通路面の変更 | 滑りにくい床材への交換・通路幅の拡張 |
| 扉の取り替え | 開き戸から引き戸・折り戸・アコーディオンカーテンへの交換 |
| 洋式便器への取り替え | 和式トイレを洋式に変更(簡易洋式便座は対象外) |
住宅改修の申請手順(事前申請が必須)
- ケアマネジャーへ相談:「住宅改修を行いたい」と相談し、「住宅改修が必要な理由書」を作成してもらう
- 工事前に事前申請:市区町村の介護保険担当窓口へ「住宅改修費支給申請書」「理由書」「見積書」「改修前の写真」「図面」を提出する(工事着工前が必須)
- 承認後に工事着工:市区町村から承認通知が届いたら工事を開始する
- 完了後の申請:工事完了後に「完成後の写真」「領収書」「工事費内訳書」を提出する
- 費用の還付:審査後、工事費の7〜9割が口座に振り込まれる
住宅改修費は「工事前に事前申請・承認」を受けていないと、後から申請しても補助を受けられません。「工事が終わってから申請すればいい」と思い込んでいる方が多いため、必ず工事前に申請してください。
手すりの高さと位置|場所別の標準寸法
| 設置場所 | 手すりの高さ・位置 | 方向 |
|---|---|---|
| 廊下(水平移動) | 床から75〜85cm | 水平 |
| 階段(昇降) | 段鼻から75〜85cm(垂直方向) | 斜め(昇降方向) |
| トイレ(立ち座り補助) | 便座から65〜70cmの高さ、横20〜25cmの位置 | 水平+縦(L字) |
| 浴槽(出入り補助) | 浴槽縁から15〜20cm上 | 水平または縦 |
| 玄関(上がり框) | 框から75〜85cmの高さ | 水平または縦 |
まとめ|手すり設置の選び方フロー
- ☑ 賃貸か持ち家かを確認した(賃貸は据置型を優先)
- ☑ 設置場所のリスク順位(トイレ→浴室→廊下・階段)を確認した
- ☑ 据置型で十分な固定強度が確保できるか確認した
- ☑ 壁固定型の場合は事前申請(住宅改修費)の手続きを把握した
- ☑ 手すりの高さ・位置を体の動作に合わせて確認した
- ☑ 要支援1以上の認定を受けているか確認した
- ☑ ケアマネジャーに相談した