ポータブルトイレとは

ポータブルトイレは、トイレまで移動が困難な方のためにベッドサイドや部屋に設置できる簡易式の便器です。「腰掛便座」とも呼ばれ、介護保険では「特定福祉用具」に分類されます。主な対象は夜間のトイレ移動が転倒リスクになる方、歩行が不安定な方、トイレまでの距離が遠い住環境の方です。

「腰掛便座」の種類(介護保険での分類)

介護保険では腰掛便座を①洋式便座の上に置くだけの補高便座、②ポータブルトイレ(自立型)、③電動昇降便座、の3種に分類します。いずれも特定福祉用具購入として年間10万円を上限に補助を受けられます。

4タイプの特徴比較

ポータブルトイレは処理方式・機能の違いで4タイプに分かれます。下表で主要な違いを確認してください。

タイプ臭い対策清掃のしやすさ電源費用目安こんな方に向く
固定バケツ式△(消臭剤必須)○(バケツを外して洗える)不要5,000〜15,000円シンプルさ重視、介助者が近くにいる
引き出しバケツ式△〜○(密閉性高め)◎(引き出して処理可)不要8,000〜20,000円座位が安定している、自力排泄できる
シャワー付き◎(洗浄で臭い残りが少ない)○(洗浄機能あり)必要(AC or 乾電池)30,000〜80,000円臭いが気になる、おしりを清潔に保ちたい
水洗式(流せる)◎(水で流すため臭いが少ない)◎(水洗で清潔)必要(AC)50,000〜120,000円長期使用、在宅で独居・排泄自立を目指す

臭い問題を解決する3つの方法

ポータブルトイレで最も多い悩みが臭いです。タイプ別に効果的な消臭方法があります。

方法①:消臭剤・防臭液の活用

バケツ内に使用前から専用の防臭液を入れておくことで、排泄物の臭いの発生を抑えます。市販の「トイレ消臭剤」より、介護用の防臭液(例:消臭元 置き型 介護用)の方が効果が高い場合が多いです。

方法②:消臭・防臭袋で密閉処理

排泄後すぐに専用の防臭袋に入れて密閉することで、処理までの時間の臭いを大幅に軽減できます。介護用消臭袋は排泄物を固化する薬剤入りのものもあり、処理が簡単になります。

方法③:シャワー付き・水洗式への切替

固定バケツ式では限界を感じる場合は、シャワー付きや水洗式への切替を検討します。費用は高くなりますが、臭いの根本原因である「残留物」を洗い流せるため、介助者・利用者双方のQOLが大幅に改善する場合があります。

設置場所・環境別の選び方

状況おすすめタイプ理由
ベッドサイドに設置、夜間のみ使用引き出しバケツ式コンパクト・静か・電源不要
コンセントがある部屋で日中も使用シャワー付き清潔感・臭い対策が優れる
独居・自力排泄を維持したい水洗式自分で処理できる・臭いが少ない
和式トイレしかない住宅補高便座(洋式変換)既存トイレの上に置くだけで洋式化
立ち上がりが困難電動昇降座面付き座面が自動で持ち上がり立位補助
シャワー付きの設置前確認事項

シャワー付きポータブルトイレを設置する前に、以下を確認してください。①コンセントが設置場所から2m以内にあるか(延長コードの場合は転倒リスクに注意)、②水タンクの補充・排水の手間を介助者が担えるか、③排水ホースを窓・ドア経由で外に出せるか(水洗式)。

介護保険での費用と手続き

ポータブルトイレは「特定福祉用具購入」として介護保険の補助対象です。レンタルではなく購入扱いになる点に注意が必要です。

要介護度対象年間支給上限自己負担(1割)自己負担(3割)
要支援1・2100,000円(税込)〜10,000円/年〜30,000円/年
要介護1〜5100,000円(税込)〜10,000円/年〜30,000円/年
特定福祉用具購入の手続きの流れ

①ケアマネジャーに相談し「特定福祉用具購入」の意向を伝える → ②都道府県指定の「特定福祉用具販売事業者」から購入する(ここが重要:指定業者以外は補助対象外)→ ③購入後に市区町村へ申請・領収書を提出 → ④1〜3割の自己負担分のみを実質負担。上限を超えた分は全額自己負担になります。

カタログ掲載の実商品例(2025年度版)

以下は2025年度カタログに掲載されているポータブルトイレ(腰掛便座)の実例です。

商品名タイプ主な特徴座面高耐荷重
びっくりトイレ(据置型)固定バケツ式横に開く肘かけ、清拭しやすい形状40〜43cm(調整式)100kg
ニューすっきりトイレ引き出しバケツ式バケツを前方に引き出して処理、防臭バケツカバー付38〜42cm(調整式)100kg
シャワーでWASHポータブルシャワー付き温水シャワー・温風乾燥・脱臭機能付き40〜44cm(調整式)100kg
リモートトイレ電動昇降+シャワー座面が自動昇降(座位保持困難な方向け)40〜48cm(電動)80kg

まとめ|ポータブルトイレ選びのポイント

選び方チェックリスト
  • ☑ 臭いが最優先 → シャワー付きまたは水洗式を検討
  • ☑ 電源が確保できない → 固定式または引き出し式バケツ型
  • ☑ 立ち上がりが困難 → 座面高調整機能付き・肘かけ付き・電動昇降座面
  • ☑ 自力排泄を維持したい → 引き出し式or水洗式(処理が一人でできるもの)
  • ☑ 介護保険の補助を使う → ケアマネジャーに「特定福祉用具購入」を依頼し、指定事業者から購入

ポータブルトイレは「排泄の自立」と「介助者の負担軽減」の両立を目指す用具です。設置場所・電源環境・臭いへの感度・介助体制を整理したうえで、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談することで、最適な機種を見つけることができます。