介護ベッド用マットレスの種類とは

介護ベッド(特殊寝台)に使用するマットレスは、一般のベッドマットレスとは異なり「体圧分散」「皮膚の蒸れ防止」「寝返りのしやすさ」という3つの要素のバランスで選びます。主な種類はウレタンフォーム・エア(空気)・ゲル・ウォーターの4種類で、それぞれ床ずれリスクや介護保険の対象可否が異なります。

体圧分散とは

長時間同じ体勢でいると、骨が出ている部分(仙骨・かかと・肩甲骨など)に体重が集中し、毛細血管が圧迫されて床ずれが生じます。体圧分散マットレスはこの圧力を広い面積に分散させることで、皮膚への負担を軽減します。

3種類の特徴比較|どれを選ぶか迷ったときの判断表

下表は介護現場でよく使われる3タイプの主要特徴を比較したものです。

種類体圧分散効果蒸れにくさ寝返りしやすさ介護保険月額目安(1割)
ウレタンフォーム△(硬さ次第)△(熱がこもりやすい)◎(安定感あり)対象外(ベッド付属品として可)ベッドに含む
エア(体圧分散式)◎(圧切替型は特に高い)○(エア循環あり)△(沈み込む感覚あり)◎(床ずれ防止用具)500〜2,500円
ゲル・ウォーター◎(密着分散)◎(温度変化が少ない)○(種類による)△(機種による)購入1〜3万円が多い

床ずれリスクによる選び方|ブレーデンスケールの目安

医療・介護現場では「ブレーデンスケール」という評価票で床ずれリスクを数値化します。このスコアを参考にマットレスを選ぶことが、過不足のない用具選定につながります。

ブレーデンスケールリスク判定推奨マットレス具体的な状態の例
19点以上リスクなしウレタンフォームで十分自力で寝返りができる、食事も十分にとれる
15〜18点軽度リスク高反発ウレタン or 圧可変型エア寝返りに一部介助が必要、食欲やや低下
13〜14点中等度リスク圧切替型エアマットレス自力での体位変換が困難、皮膚の発赤がある
12点以下高リスク圧切替型エア(ハイスペック)全介助、栄養状態不良、浮腫あり
床ずれが既に発生している場合

床ずれのステージ1(皮膚が赤い)以上が確認された段階でエアマットレスへの切替を強く推奨します。ステージ2(水疱・浅い潰瘍)以上になると治癒に数週間〜数ヶ月かかるため、早期対応が重要です。既に床ずれがある場合は訪問看護師や主治医と連携のうえ、適切なマットレスを選定してください。

カタログ掲載の実商品例(2025年度版)

以下は福祉用具レンタルカタログ(2025年4月版)に掲載されているエアマットレスの実例です。

商品名品番メーカータイプマット厚対応体重消費電力
ここちあ利楽KE-973Sパラマウントベッド圧切替型13cm20〜138kg約2.2円/日
ネクサスアイビーモルテン圧切替型10cm〜130kg約2〜3円/日
ビッグセルアイズモルテン圧可変型10cm〜130kg約1〜2円/日
ステージアケープ圧可変型10cm〜130kg約1〜2円/日
圧切替型と圧可変型の違い

圧切替型はチューブへの送気を交互に切り替え、体の各部位に当たる空気の圧力を周期的に変動させます。寝たきりの方の床ずれ予防効果が高い反面、動きを感じる方もいます。圧可変型はエアの量を調整して体重・体型に合わせた圧力設定を行います。動きが少なく使いやすい反面、体位変換が全介助の方には圧切替型が推奨されます。

エアマットレスの介護保険適用条件と費用

体圧分散式エアマットレスは「床ずれ防止用具」として介護保険レンタルの対象品目です。

要介護度介護保険適用月額全額(目安)1割負担3割負担
要支援1・2△(予防給付・条件付き)5,000〜8,000円500〜800円1,500〜2,400円
要介護15,000〜10,000円500〜1,000円1,500〜3,000円
要介護2〜310,000〜20,000円1,000〜2,000円3,000〜6,000円
要介護4〜515,000〜25,000円1,500〜2,500円4,500〜7,500円
ウレタンマットレスの扱い

ウレタンフォームマットレスは単体では介護保険レンタル対象外ですが、介護ベッド(特殊寝台)の「付属品」として同時にレンタルできる場合があります。ただし対象となる付属品はマットレス・サイドレール・テーブル等に限られるため、担当ケアマネジャーに確認してください。

マットレス選びのポイント|よくある失敗と対策

失敗例①:床ずれリスクが高いのにウレタンのまま

「まだ床ずれが出ていないから大丈夫」という判断で長期臥床が続いた結果、気づいたときには仙骨部に深い床ずれが発生するケースがあります。自力での寝返りが困難になった時点でエアマットレスを検討してください。

失敗例②:エアマットレスで転落・ずり落ちが増えた

エアマットレスは沈み込みやすく、端座位(ベッドの端に腰掛ける)が不安定になる場合があります。離床を促したい方には、離床時に空気を減らして固めにできる機種や、端部分が硬い「端部固め機能」付きモデルを選ぶと安全です。

失敗例③:ポンプ音で本人・家族が眠れない

エアマットレスのポンプは24時間稼働します。最近の機種は30dB以下(静かな図書館レベル)ですが、神経質な方には「静音モード」「夜間モード」付きの機種を選ぶことを推奨します。

まとめ

マットレス選びのチェックリスト
  • ☑ ブレーデンスケール18点以下 → エアマットレス(圧切替型)を検討
  • ☑ 自力寝返り可能 → ウレタンフォームで十分なことが多い
  • ☑ 要介護2以上 → 体圧分散式エアマットレスが介護保険レンタル対象
  • ☑ 床ずれステージ1以上が出現 → 訪問看護師・医師に相談し早期にエアマットレスへ切替
  • ☑ 長時間の外出・電源のない場所での使用 → 停電対応機能付きを確認

マットレス選びは「今の状態」だけでなく「今後の予測」も含めた選定が重要です。担当ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に現在のADL(日常生活動作)を伝えながら相談することで、最適なマットレスを見つけられます。